イベント情報

2018.04.09(月)

教育CSRフォーラム2018報告書

会場の様子次世代育成に取り組む企業による「キャリア教育プログラム開発推進コンソーシアム」(事務局:株式会社キャリアリンク)は、2018年3月27日(火)浅草橋ヒューリックホール&カンファレンスにおいて『教育CSRフォーラム2018~2020年、そしてその先へー日本の“協育のチカラ”を考える~』を開催いたしました。本フォーラムは社会総がかりで子どもたちの資質・能力育成を実現するために、学校と企業のあるべき連携の推進を考える場として、毎年、教育関係者、企業の教育支援担当者にお集まりいただいており、今回も100名を超える参加者を迎えることができました。

今回のテーマは、2020年新学習指導要領の最重要キーワード、「カリキュラム・マネジメント」です。2020年以降の学びのあり方、子どもの力を育てる学級・学校マネジメント、学校×企業の協働による”協育のチカラ”が発揮された効果的な事例など、改革を牽引する実践者の発表を通して、これからの学びと次世代育成について共に考えました。

メインプログラム概要

開会挨拶 「学校×企業ーこれからの社会の“協育のチカラ”」

若江 眞紀 (キャリア教育プログラム開発推進コンソーシアム代表)

会場の様子これまでは企業の方のご参加の割合が多かったが、今回は企業の方と教育現場の方に半々ずつお越しいただいております。当コンソーシアムでは2006年の発足から、企業と学校が連携して「実社会とつながる学び」を子どもたちに届けるために取り組んでまいりましたが、日本の教育の転換期である今、このようなコラボレーションによる“協育”がより一層求められます。

2020年から施行される学習指導要領は、2035年以降の社会を見据えています。子どもたちが、理解していることを活用しながら、よりよく世界と関わり生きていくことが学びのゴールとして示されました。“協育”を通じてめざすのは、これまでの知識・技能習得主体の学びに加えて、生きて働く資質・能力を育成することであり、重点は思考力・判断力・表現力の育成です。そのためには「社会とつながる学び」を「社会に開かれた教育課程」のカリキュラム・マネジメントにより実現することが必須となります。

基調講演 「カリキュラム・マネジメントによる21世紀社会の“実力”の育成」

奈須 正裕 氏(上智大学総合人間科学部 教育学科 教授)

会場の様子テストの成績などで測ることのできるいわゆる“学力”を、「いつでも使える」力として、“実力”に含めて考えるという学力観の転換の必要性、それを実現するカリキュラム・マネジメントや授業デザインの考え方について、非常にわかりやすくお伝えいただき、教育の本質に関する新しい気づきとこれからの教育のあり方への理解をうながしていただきました。

  • 学力観の転換とは
    これまで、テストの成績などで測ることのできるいわゆる“学力”は、“実力”と別物と捉えられていましたが、本来“学力”は“実力”の一つでなければいけないと考えています。日本の教育は、全般的にとてもうまくいっていますし、国際的な評価も高いのです。だからこそ、学習指導要領が変わる今、教育現場に必要なのは、“実力”を育てる、という発想の転換、学力観の転換です。
  • 今回の学習指導要領改訂の特徴
    高校における科目の全面的再編成がもっとも大きな変化です。そのほかには道徳の教科化、プログラミング教育の必修化、小学校における英語の教科化があります。うまくいっているものはこのまま維持し、教える内容を変えずに、学力観を変えていくこと、そして資質・能力を基盤とした学力へ拡張することが重要となります。また、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニングの視点)の効果的な実践のためにカリキュラム・マネジメントの展開も必要となります。
  • コンピテンシー・ベイスの教育
    会場の様子知識は持っているものではなく、使うためのものです。ですから、学校現場で使えるように教える必要があります。「資質・能力」の育成を通じ、知識を使う文脈をつくる力を養うことが必要になってきます。これが、コンピテンシー・ベイスと言われる教育です。昨今では、テストの技術も進み、対人関係スキルなども測定の質が上がってきましたので、これからはこのような力が測られていくでしょう。人事管理・組織経営は、コンピテンシー(資質・能力)・マネジメントと言われています。それは高等教育の評価に影響し、さらに初等中等教育へとおりてきています。AIが仕事を奪うとされる現代ですが、人間だからこそできることがあります。機械にできるところは機械に任せ、人間ができるところをやればいい。社会が人間化に向かうということです。そのとき、必要となるのはコンピテンシーです。だからこそ、教育現場でもコンピテンシーを養わなければなりません。
  • 新学習指導要領におけるカリキュラム・マネジメント
    カリキュラム・マネジメントには大きく3つの側面があります。
    ① 各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校の教育目標を踏まえた教科等横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと② 教育内容の質の向上に向けて、子どもたちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること③ 教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること教科におけるカリキュラム・マネジメントは「教科横断的」と言われますが、2つの「教科等横断的」があります。
    ① 「内容」の教科等横断的な指導=合科的・関連的な指導を行うこと② 思考や表現の方法を教科等横断的に見ていくこと「教科横断」を実現するためには、まず、教科等の特質・本質を明らかにする必要性がありますが、まだそこまでの実践ができている学校は少ないのが現状です。
    また、今話題となっているプログラミング教育ですが、その主眼はコーディング技能ではありません。プログラミング的思考、機械とのコミュニケーションなど身近な生活の中に存在することへの気づきです。自然言語のよさ、それを使って豊かで互恵的な関係を構築していくことの価値、構築できる技能の育成にもなり、文化的背景が異なる他者との関係構築、普遍な人間尊厳の理解と尊重にもつながります。
  • これからの時代に求められる教育(学習指導要領 前文)
    今回の学習指導要領で初めて「前文」を作りました。
    豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となる子どもたちの学びの場をつくることを目指している「学校」の原点に立ち返り、これまでの学校教育の資産をいかして外の力と協力し、カリキュラム・マネジメントをしながら学びを再構築していけば、これからの時代に求められる教育が達成できると言えます。
    (前文はこちら:平成29年3月公示 小学校学習指導要領を見る<参加者の声> ※アンケートより抜粋・学習指導要領の改訂と、これから重要視される学力論が組み合わされながら、とてもわかりやすい講演であった。・カリキュラム・マネジメントについて、大切なことは何か、今までとは違ったことは何なのかがよくわかった。・教育界の動きに期待を持った。人を育てるのは企業も同じ。

企業による教育支援活動事例発表

公益財団法人 日立財団
高野 美樹 氏(事務局次長 兼 新規事業推進シニアプログラムオフィサー)

会場の様子日立の企業理念・精神に基づく「人づくり」「科学技術の振興」への貢献活動から、現代の社会的課題(理科離れ、理工系分野の国際競争力低下)に対応するためにスタートを切った「理工系人財育成支援事業」の中核となる、小学校向け探究学習プログラム『日立みらいイノベータープログラム』についてご紹介いただきました。

  • 日立の事業を通じた社会貢献の精神、科学技術振興への想い
    日立は「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念が、その後50年以上続く財団活動へと繋がっており、特に「人づくり」「科学技術の振興」をキーワードとして活動してきました。その後、新たな時代の社会課題を視野に、「学術・科学技術の振興」「人づくり」「地域コミュニティ支援」の3分野に重点を置くことになりました。
  • 人づくりー理工系人財育成支援事業『日立みらいイノベータープログラム』の開発
    会場の様子若者の理科離れや理工系分野の国際競争力低下に対し、社会課題を解決する資質・能力育成型の学びのニーズを考え、「理工系人財育成支援事業」の推進を掲げました。「社会イノベーション」を推進する日立グループとして、「人づくり」の日立として、「公教育」を通じた社会課題解決の実現をめざし、『日立みらいイノベータープログラム』を開発しました。
  • 育成する資質・能力
    重点的に育成すべき資質として、創造性・探究心・主体性・チャレンジ精神、重点的に育成すべき能力として主体的に思考・探究するための問題発見・解決力を掲げています。
  • 『日立みらいイノベータープログラム』の概要
    4か月にわたる探究学習プログラムで、すべての学習過程を「科学的思考」のプロセス=問題を発見する、仮説を立てる、計画を立てる、情報を収集する、仮説を確かめる、整理・分析する、創造する、にもとづいて設計しています。そして「気づく」ためのPhase1、「考える」ためのPhase2の二段階になっているのが特徴です。
    Phase1では、日立グループの社員講師(日立みらいサポーター)が学校に訪問し、実験による検証、問題発見トレーニング、科学的思考をうながすワークシートに取り組みます。Phase2では、「理想の学校を考える」というテーマに対して、課題の設定~解決案の検討を経て、児童が自分たちのアイディアをまとめます。中間発表ではプロからの厳しいフィードバックをもらい、児童の相互フィードバックもいかしながら、アイディアをブラッシュアップして最終発表に臨みます。取組の中ではリフレクションを習慣化させ、「科学的思考」のプロセスが身につくしかけを組み入れています。
    また、プログラムを通しての教育効果を測るため、事前と事後に児童へのアンケート調査を行っています。結果を比較すると、児童の資質・能力に変化が出たことを読み取ることができます。
  • 今後に向けて
    2020年の節目(新学習指導要領全面施行)をマイルストーンに、「これからの教育ニーズ」に応える活動として社会的価値向上をめざし、さらに事業を拡大していく予定です。
    <参加者の声> ※アンケートより抜粋・学校だけでなく、講師側もキャリアやスキルを見直す機会になることが再認識できた。・学び方を教えるという具体的で明確なプログラムであり、それは今、学校で求められているものである。

ANAホールディングス株式会社
二階堂 由夏 氏(CSR推進部 マネジャー)

会場の様子ANAの社員が共通で大切にしている企業理念(ANA's Way)をメッセージの軸とし、将来を描く時期を迎える小学校高学年の児童を対象に、これから出会うさまざまな人々と協働しながら、夢にあふれる「未来」を切り拓く力を育むことを支援するプログラム『ANA Blue Academy ミライつく~る』についてご紹介いただきました。

  • 『ANA Blue Academy ミライつく~る』に込めた想いとゴール
    ANAでは、将来を描く時期を迎える子どもたちが、これから出会うさまざまな人々と協働しながら、夢にあふれる「未来を切り拓く力」を育むことを応援しています。この東京2020公認プログラム『ANA Blue Academy ミライつく~る』の展開を通して、持続可能な開発目標(SDGs)の目標4「すべての人に対する、包括的、公的かつ良質な教育の確保、生涯学習の機会促進」の達成に貢献していきたいと考えています。
  • 『ANA Blue Academy ミライつく~る』の概要
    ①小学校5・6年生を対象にした、学校で実施するキャリア教育の出前授業②新学習指導要領の趣旨に則った、アクティブ・ラーニング③フロントラインで使用するツールを使った5職掌の仕事体験ワークこの3つがプログラムの特徴です。
    実社会で働く私たちが学校に足を運び、「お話をさせていただく講話型の授業」ではなく、子どもたちがワークや体験を通して、「本物に触れる」ことを大切にしています。授業で使うワークシートは裏面を「修了証」にして、当日担当した講師が1枚1枚署名をし、子どもたちが未来を描くために使える「ミライシート」を渡し、「本物に触れた経験」を子どもたちの「夢」につなぐしかけを考えました。
  • 企業提供プログラムとして大切にしたこと
    会場の様子「企業の提供プログラム」だからこそ伝えたかったのが、私たちが「その企業の社員としてどのような心持ちで仕事にあたっているか」ということです。過去から積み重ね、これからも大切にしていくANA’s Wayというものがあります。すべてのスタッフが、あらゆる場面でこのANA’s Wayを大切にすることで、チームワークを強め、安全に快適にすべてのお客様に安心してご利用いただけることをめざしています。企業で働くことの延長線上には、社会への貢献があるということを、プログラムを通して子どもたちに伝えたい、それが、これからの未来の社会をつくる子ども達の資質・能力の育成のために企業だからこそできることだと考えています。
    *ANA’s Wayとは・・・ANAグループの行動指針。1.安全 2.お客様視点 3.社会への責任 4.チームスピリット 5.努力と挑戦
  • 今後の展開
    『ANA Blue Academy ミライつく~る』を47の都道府県で展開し、全国の子どもたちへのプログラム提供を通じて、未来をつくる次世代育成に貢献していきたいと考えています。
    <参加者の声> ※アンケートより抜粋・現役の方がサポーターをされていて、よりリアルな活動を提供し、大切なコンセプトだと感じた・憧れの職業だが、そこには華やかさばかりではない、100%の安全を目指すことの責任や社内ルーティン、おもてなしの精神、グローバルなコミュニケーションなど、大切な要素ばかり。中学生向けにも展開してほしい。

企業プログラム活用実践発表「子どもの資質・能力を育てるために」

矢出 大介 氏(和歌山大学教育学部附属小学校 教諭)

総合的な学習の時間のカリキュラム・マネジメントに、『日立みらいイノベータープログラム』『ANA Blue Academy ミライつく~る』を活用した実践について発表いただきました。

  • 私が大切にしていること
    会場の様子小学校の6年間を通じ、子どもたちが、自分とは何かを考え、異質を受け入れること、そして自立と共生する力を育てたいと考えています。そのために、目の前の課題をどうすれば解決できるのか?児童自身が考えることを大切にしています。子どもが主体的に学ぶには、子どもの意欲を掻き立て、心が動かされる出会いを教師がうまく設計することが重要です。
    今回導入した2プログラムには、「意欲」と「心が動くこと」が備わっていると感じ、授業に取り入れることにしました。魅力的な企業の、魅力的な実践に触れることは、子どもたちにとって何よりのモチベーションになります。
  • 外部プログラム導入の成果
    2つの実践から、全員が課題把握し、アクティブに習得すること、教科横断の学びにつながったと言えます。
    ・日立みらいイノベータープログラム
    長期プログラムとして、本プログラムを年間計画の軸に置き、それ以外の学びを繋ぎ合わせました。長期間だからこそ「自己の成長を実感する」「児童自身による課題解決」などの要素が、このプログラムの魅力と感じています。講師からのフィードバック、アンケートやインタビュー、データ分析などを経て、ふりかえりや表現を考えることを通じ、「見方・考え方の共有」と、「比較・関連・仮説・事実」の「考え方」を身に付けることができました。学校改革について考えることで、「今まで考えなかったことを考えている自分」のメタ認知につながり、個々の成長を児童も教員も実感できたと思っています。
    プログラムの実践を通じて、児童会代表に立候補するなどの変化が起き、学校生活全般で成長を感じました。総合で学んだことを他教科で活用することの有効性も感じることができました。また、遠隔地とのSkype中継による講師への最終発表など、ICTも有効活用ができました。
    ・ANA Blue Academy ミライつく~る
    子どもたち誰もが知っている企業に対する「憧れ」、企業で働く上で大切にしていることをお伝えいただく「講師の思い」が、このプログラムの魅力と感じています。講師の思い×仕事体験が、自分の夢・未来について考えることに繋がったと考えます。また、経験を家庭で話したという児童も多く、キャリアに関する親子の対話が生まれたようです。ANAで働く大人も「自分ががんばることで他の人を幸せにする」と考えていることを知ることができ、自分の夢・未来について友だちと一緒に考えることができました。全員が自分を知り、みんなの前で夢を語ることができたことは、非常によい経験になったと思います。
  • 外部人材・資源を活用したカリキュラム・マネジメントの価値
    会場の様子 総合的な学習の時間を年間計画の中心とし、他教科との関連を考えながら、外部の力を取り入れることが大事だと考えます。総合的な学習の時間により身につけた見方・考え方を他教科・生活でいかすことは大きな成果と言えます。「意欲の向上・維持」「目標にせまる」「学びを広げる」といった観点で、外部の力はとても有効です。
    そのために教師に必要なことは、人と人をつなぐことであり、外部人材とわくわくする子どもをつなげたいと考えています。企業の皆さんが、本気で子どもと向き合ってくださったことが、「ほんまもん(オーセンティック)の学び」をもたらしてくれたと感じました。そして、ゲストティーチャーの姿に触れ、私自身、身近な魅力ある大人として、本気の姿を子どもに示し、自分自身が楽しみながら、子どもたちにとって憧れの仕事(教師)になるよう努めたいとも思います。<参加者の声> ※アンケートより抜粋・総合的な学習の時間で培ったことを各教科にいかし、「目の前×将来」をもって子どもの将来を見通し教育をしていく重要性を知った・企業の学校教育プログラムが学校生活全般で子どもの成長に実際に貢献できていることが理解できた・外的リソースをどのように活用するかという視点が教師には大切だと思った

講演 「資質・能力育成型へ転換する学校マネジメントの現状」

平本 正則 氏 (横浜市立仲尾台中学校 校長)

子どもたちの力を育成するために、現場がどのように対応しているか、どのような課題があるのか、横浜市立仲尾台中学校における取組を中心に具体的にご提示いただきました。資質・能力育成のためには、まずは教員を取り巻く実情や先生方のニーズ、実態を正確に把握し、国・自治体・現場が一体となって「環境を変えること」の必要性を強く実感するご講演でした。

  • 横浜市における教員育成の取組
    会場の様子長い間教育現場に携わってきて、もう教員だけで教育をする時代は終わったと感じています。私は現在、横浜市立仲尾台中学校の校長ですが、昨年までは小学校、その前は教育委員会の人事部で教職員育成課長を務めておりました。横浜市は1万6千人の教員を抱えており、その初任から管理職まで、全職員の研修を担当しました。
    横浜市では、教員の育成において、以前より民間の企業から積極的に学ぼう、という取組を続けてきました。具体的には、教員の民間企業への研修派遣を行っております。平成29年度は夏休みを中心に791名が参加しました。期間は短くとも、基礎的な学ぶ力の高い教員ですので、たくさんのヒントを得て現場に戻り、教育活動にその気づきをいかしています。すでに市内約500校の管理職のほぼすべてが企業派遣研修を経験しています。
    他にも経験年数10年くらいの教員対象には『人材育成マネジメント』という経団連との連携による任意の研修を、4年目~10年目の教員対象には『リーダーシップ開発研修』などさまざまな研修が展開されています。こういった経験の財産を子どもたちの育成につなげていこうというのが横浜市の方針です。
  • 学校現場の今日的な課題
    『社会に開かれた教育課程』の実践において、公教育の観点からは「どこの学校でもできるかどうか」が重要なポイントになります。そのためには、学校現場の状況を正確に把握しなければなりません。教員の大量退職・大量採用が続いた結果、横浜市の場合、経験年数10年未満の教員が全体の6割を超えています。また、臨時任用や非常勤の教員も増えています。いじめや学力向上、ICTの活用など課題が山積する教育現場において、教員の資質・能力の向上が必須です。社会の変化がスピードアップするなかで、学び続ける自己研鑽の姿勢を持ち、高い専門性を発揮できる教員が求められていますが、経験の浅い教員は、そもそも子どもの心の理解や授業の組み立てに大変苦慮しているということがアンケートから見えてきており、教員への支援、教員が学び続けられる環境をつくる必要があります。また、校長アンケートからは、新学習指導要領の現場での周知・研修の実施が求められており、現場では教育がめざすこと、新学習指導要領のねらいを共有することがまだ不十分であることが課題と指摘されています。
  • 資質・能力の育成をめざした小中一貫(系統立てたカリキュラム)の実現にむけて
    資質・能力の育成については、教育目標、9年間で目指す子ども像を、小中学校がバラバラではなく、ともに連携して足並みを揃えていくことが重要です。小中一貫教育を推進するにも、継続的な取組のための組織の構築が必須です。皆、「主体的・対話的で深い学び」の重要性は理解していますが、特に中学校は実践が十分に浸透しているとは言い難い状況です。経験者ほど自分の授業のスタイルから抜けられないという事実、時間がないという実態、経験の浅い教員が多いという現実があり、またもっとも大きな課題は、義務教育の9年間をしっかりとつなぐことができていない、という点です。カリキュラム・マネジメントの観点から、縦軸(9年間を見通した系統性)と、横軸(教科横断的)を同時にやらなくてはいけないのです。これをどのように乗り越えるか、教員自身が正面から取り組まなければならない状況になっています。
  • 仲尾台中学校の取組
    本校では、2018年度よりこれまでの取組を洗い出し、無駄がないか、改善する必要があることはないか、工夫できる余地がないか、取組全体を見直すべく、さまざまなプロジェクトを推進しています。具体的には、多忙化解消プロジェクト、学力向上プロジェクト、小中一貫教育推進プロジェクト、小中合同学校運営協議会設立・人材育成などに力を入れています。具体的には、部活動の指導の在り方の見直し、小中の教員協働での会議による顔の見える関係づくり、地域や外部有識者を巻き込んだ人材育成目的での運営協議会、また、私学を含む近隣の学校と校種の垣根を超えたネットワークを構築し、それぞれの知見をいかし学び合い、授業力向上にいかすといった取組です。
  • まとめ
    会場の様子子どもたちにとって、教員は最大の教育環境と言えます。「どんな教員に出会うか」が、子どもに大きな影響を与えます。だからこそ、これからは教員だけでなく、民間の力もどんどん借り、協力して育てていく形を作っていきたいと考えています。校長として、現場だけでなく教育委員会や国、外部とも連携しながら、教員が学び続けられる環境をどうやって作ることができるかを考えることが、結果的に子どもたちに還元されると考えています。<参加者の声> ※アンケートより抜粋・教員育成のさまざまな課題を知ることができた・教員だけで教育をすることは難しく、外部人材を求めていることがわかった。会社員も同様で、学び続けることが重要である・教員が学び続けるシステムづくりは、子どもが学び続け、資質・能力を育成できることにつながることがわかった

企業×教育関係者による交流会

『「協育」を実現する「パートナー」となるためのキーファクターはなにか?』

教育CSRフォーラム2018 メインプログラム終了後、55名の参加による交流会を実施しました。今回の交流会は6名ほどのグループになり企業担当者、教育関係者混合でワークをしました。

  • 交流会概要
    ① 自己紹介 ② テーマについて、それぞれの立場でニーズ・課題を出す ③ グループで共有し、付せん紙を類型化する ④ 共有の結果から、「パートナー」になるために必要な「キーファクター」を決定し、模造紙の中央に記す ⑤ 最後に全体共有としてグループ毎に発表する
  • ワークテーマ
    社会に開かれた教育課程を通じた教育現場と外部の連携において、企業と教育現場がお互いのニーズやゴールを正確に把握し、「協育」を実現する「パートナー」となるためのキーファクターはなにか?

    それぞれ立場や環境が違う者同士、同じテーマ、同じ目的・ゴールをめざした話し合いは、双方にとって刺激となりました。各グループからのアウトプットには、「ビジョンを共有する」「まず、やってみることが大事」といったキーファクターが挙げられました。

会場の様子

教育CSRフォーラム2018 アンケート集計速報

トータルご参加人数:102名 アンケート回収率:80%

ご出席者内訳

ご出席者内訳

全体満足度

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非常に満足、満足の理由(複数回答)

全体満足度で「非常に満足」「満足」を選ばれた理由

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