2022年1月14日

PISA2022 
個別最適な学びとPISA調査 ~今、PISAは何を測ろうとしているのか

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PISA(Programme for International Student Assessment : ピザ)とは、OECD(経済協力開発機構)が、各国の教育を比較する教育インディケータ事業(INES)の一環として、3年ごとに実施する国際的な「学習到達度」に関する調査です。PISAの目的は、“義務教育終了段階の 15歳の生徒が、それまでに身に付けてきた知識や技能を,実生活の様々な場 面で直面する課題にどの程度活用できるかを測る事”です。 調査の結果は、自国の教育システムの良い点や課題を明らかにして、国の教育政策や教育実践に活かします。まさに国際的な教育のビックデータの活用です。

まず初めに知るべきは、PISAが「何を測ろうとしているのか」ということです。PISAは「リテラシー」を評価する調査です。主に「読解リテラシー」「科学的リテラシー」「数学的リテラシー」が調査の対象ですが、この3つの分野以外にもオプションの調査も含め、PISAで測られているのは教科の内容の習得だけではなく、多分野にかかる<21世紀の世界とよりよくかかわり、人生を切り拓くために必須の力>を「リテラシー」として定義し、評価しているのです。それは、受験やテストだけがゴールではない、<生涯学び続ける力、生きる力>を測る作業とも言えるでしょう。そのため、毎回「ファイナンシャルリテラシー」「デジタル読解力」など、その時世の中に必要とされる力を、教育内容に反映するためにテーマや問題の内容をアップデートし続けています。

そして、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で1年延期となった次回2022年のPISA。そのテーマだけでなく、「リテラシー」の測り方もアップデートします。2015年にスタートしたコンピューター使用型調査(CBT)の普及により、PC活用スキルも含めその評価の仕方もより包括的になりました。CBTでは、生徒は実社会同様に、キーボード入力で文章を書くことはもちろん、複数の画面(Webのリンク先)を切り替えながら情報を処理したり、スクロールや基本的なドラッグ&ドロップなどの操作も行います。

2022年調査では、数学的リテラシーと読解リテラシーにおいて、生徒の解答結果に応じて出題内容を変える「多段階適応型テスト(Multi Stage Adaptive Testing : MSAT)」手法を本格的に応用します。これにより、“生徒の能力をより高い精度で測る”ことが実現され、能力の特に高い/低い生徒についての実態の把握がしやすくなります。今、日本の教育現場ではGIGAスクール構想の実現の最中、個別学習、児童生徒一人ひとりの習熟度やペースにあった学びを、同じ教室空間で展開するための議論が進んでいますが、PISA2022は、その議論に一つのヒントを示すことになるでしょう。

一人一台のパソコンに向かい、デジタルで多様な情報にアクセスし、デジタルで協動的に問題解決をする。DX時代の実社会のテーマに対し、実社会と同じようにデジタルツールを道具として思考・判断・表現できるかどうか。そしてその結果としての膨大なデータを、わたしたちがどのように教育の現場、家庭、社会、個人の成長と学びに、効果的に活かせるかどうか。2022年の調査に注目が集まります。

※出典:文部科学省国立教育政策研究所パンフレット
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2022/01_point.pdf

【参考】文部科学省 StuDX Style 公式サイト
https://www.mext.go.jp/studxstyle/