2024年6月14日

キャリア教育アワードから考える、企業の教育へのかかわり

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「PISA2022 結果から何を見るか」の画像です。

変化の激しい現代社会において教育に求められるのは、子どもたちに「困難を乗り越え未来に向けて進む力」を身に付けさせ、「自分の力で人生や社会をよりよくできる」という実感をもたせること。それには、社会とのつながりの中で学ぶことが重要です。
そこで、現行の学習指導要領の理念として掲げられたのが「社会に開かれた教育課程」。これからの学校教育には、社会との連携・協働を前提とした、「協育」が求められています。

その動きをいち早く提示し後押しするのが、キャリア教育アワードです。2010年より10年以上に渡り、経済産業省と文部科学省が共催しています。産業界によるキャリア教育の取組とその効果を広く社会で共有し、取組を奨励・普及・促進することを目的として、優れたキャリア教育の取組を行う企業・団体等を表彰する制度です。

令和5年度 第13回「キャリア教育アワード」大賞(経済産業大臣賞)を受賞したのは、富士通株式会社「デザイン思考で考える富士通SDGsプログラム」※1。現在の教育的・社会的ニーズに応えるアプローチであることが高く評価されました。教育支援事業として3年間の計画とKPIに基づいたPDCA(継続性)と、同社だからこその「デザイン思考とテクノロジーを活用したプログラム」(企画性)が、評価のポイントでした※2。また、教科書にも盛り込まれているSDGsをテーマにした学習内容や(教育効果)、全国どこからでも参加できるオンラインによる 3校同時接続スタイル(普及性)などの工夫も、高い評価につながっていると言えるでしょう。

現在、産業界のキャリア教育支援に重要なのは、長期的な視点です。学校では「今年だけでなく、来年も、またその次の年も」学習は繰り返されますから、「単発イベント型で、1回だけやってみた」では、いくら内容がよかったとしても、ステークホルダーの評価にはつながりません。「継続的に提供し続ける」こと、そのために企業と学校関係者が「密接に連携していく」ことが前提となります。 また、学校現場では、学習指導要領で重視されたカリキュラム・マネジメントや、キャリア・パスポートの活用など、長期的な見通しをもった計画的なキャリア教育が広まりつつあります。
これらのことから、プログラム・教材の開発だけではない、計画的な事業推進や、実施に際した学校との調整・コーディネートの重要性がますます高まっていると言えるでしょう。

「社会に開かれた教育課程」を理念に掲げ、大きな変革をむかえている学校教育において、「企業と連携・協働」は、今や必要不可欠です。産業界が次世代に期待する「主体的に問題解決に取り組む力」などのスキルの重要性は、学校教育でもキーワードとして取り上げられおり、社会全体で共有する「次世代育成」の指針です。
共通の目標に向けて、学校と企業はどのように連携できるか―教育の未来への示唆が、キャリア教育アワードの結果に表れていると言えるでしょう。

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