2025年7月4日
学習指導要領の理念と、学校と企業の協育~「社会に開かれた教育課程」の実現
- #学習指導要領
- #企業
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大改革と言われた現行の学習指導要領。その理念は、「社会に開かれた教育課程」です。これは、「学校が、外部リソースを活用する」ということにとどまるものではありません。「社会に開かれた」とは、オープンであること。教育活動のねらいや、学習成果が社会と共有され、協力して教育をしていくこと。つまり、学習指導要領の理念として、まさに「協育」が掲げられているのです。
- INDEX学校と社会が目標を共有
- 01教員に期待したいこと
- 02企業に期待したいこと
学校と社会が目標を共有
学習指導要領には、以下のように示されています。
よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な教育内容をどのように学び、どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを明確にしながら、社会との連携・協働によりその実現を図っていく。
「学校で学んだことは、社会に出たら役に立たない」と比喩される言葉がありますが、学校と社会が分断されているのではなく、目標を共有し、連携・協働して教育をしていこう、と考え方を大きく変えることが必要です。
01教員に期待したいこと

「子どもたちが将来生きていくのは、学校ではなく社会。そこで活躍し、よりよい社会を創っていってほしい」と考えると、教科書に頼った授業では限界があります。産官学のリソースの活用が効果的です。特に、企業には、国際社会における競争と挑戦による最先端の知があります。これを授業に取り入れる、カリキュラム・マネジメントが求められるのです。「じゃあ、毎日の授業をプロジェクト型にしなければ……」などと難しく考える必要はありません。大事なのは、「毎日の生活で目にしたり、触れたりする企業の知のかけらを授業に取り入れたら、子どもたちはどんな反応をするかな?」と楽しみながら試してみることです。そんな小さな工夫から、きっと授業が変わっていくはずです。
02企業に期待したいこと
学習指導要領には、「学校と目標を共有し、連携・協働すること」と示されています。これまで多く見られた「用意されたものを一方的に伝える」ような、プロダクトアウト型の教育支援からの脱却が求められているのです。大切なのは、学校現場の実態をよく把握し、教員・子どもたちのニーズに耳を傾けて、共に学びをつくっていく姿勢。とはいえ、企業側にも、限られたリソース、さまざまな制約があるのも事実です。そこでポイントとなるのが、「事前~当日~事後」という時間軸で学びをとらえることです。(学校教育では、「単元」と言います。)子どもたちに出会う前に考えておいてほしいことを準備したり、講師として授業をした後、チャレンジできる課題をいくつか用意したり……。「子どもたちは、毎日、どんな学びをしているのだろう?」「その学びを、一緒につくるとしたら、私たちには何ができるのだろう?」こんなふうに見方を変えると、協育の一歩が踏み出せると思います。
学習指導要領の理念「社会に開かれた教育課程」。学校と社会が歩み寄って、連携・協働した「協育」によって実現されていくことを願っています。