イベント情報

2019.07.19(金)

教育CSRフォーラム2019報告書

会場の様子

次世代育成に取り組む企業による「キャリア教育プログラム開発推進コンソーシアム」(事務局:株式会社キャリアリンク)は、2019年7月11日(木)一橋大学一橋講堂において『教育CSRフォーラム2019 ~社会貢献としての「教育支援」から「課題解決型人材育成」へのシフトチェンジ~』を開催いたしました。Society5.0を見据え、いま、教育の目的は知識や技能の習得から「課題解決型人材」としての資質や能力の育成へと転換しています。“協育”を手段として、産業や地域を支える次世代を育てていくために、今回のフォーラムは、120名余りの来場者を迎え、産業界と教育界が育てたい人材像を共有し、未来を創る「協育」の価値ある次のアクションについて考える場となりました。

メインプログラム概要

開会挨拶

若江眞紀 (キャリア教育プログラム開発推進コンソーシアム代表)

会場の様子2006年から始まったコンソーシアムは2021年に15周年を迎えます。これまでさまざまな企業に参画いただき「実社会とつながる学び」を推進してまいりました。今回は、新たな“協育”のための連携実現を目指し、コンソーシアムの形態もさらに進化させていただくことを控え、このタイミングで本フォーラムを開催いたしました。資質・能力の育成に重点が置かれた新学習指導要領に合わせ、学校が社会と融合していく時代が訪れますが、同時に産業界も変化しております。

もともと社会貢献活動から始まった、企業の教育へのかかわりはその後、教育CSR(Corporate Social Responsibility)から、やがて、教育CSV(Creating Shared Value)へと位置づけが変わってきています。そして、ESG投資が注目される現在、企業の教育へのかかわりはより戦略的であるべきです。

“協育”は目的ではなく手段として、教育界・産業界、そして社会全体のミッションであるとの認識を新たにしていきたいと思います。

基調講演 「“必ず食える1%”の人材を育てるために」

藤原和博 氏(教育改革実践家)

会場の様子“協育”を通じ、どんな子ども達を育てるのか、どんな力を身につけられるようにすべきか。藤原氏のパワフルなお話と、瞬発力が試されるワークを楽しみながら、来場者がその「人材像」のイメージを共有し、そのために、教育の現場にどのようにかかわるべきかを考える、刺激的な70分となりました。

  • 「将来無くなる仕事」について子ども達と真剣に議論する
    会場の様子ニュースで取り上げられている教育をめぐる事件や出来事は、学校問題ではなく社会問題として捉える必要があります。学校を追い詰めてはいけない。地域社会全体として考える必要があり、企業を含めた社会、家庭、学校、より連携していかなければ、教育現場は何も変わりません。これからの社会の最大の変化は、企業にとっても、個人にとっても、子どもにとっても、ひとつ。それは、『超ネットワーク社会』が訪れるということです。10年後は、世界の半分がネットで繋がるようになる。情報が動画でやり取りされるようになり、疑似的につながり、AI、ロボットもつながってくる。
    そうすると、社会も大きく変化し、仕事そのものも変わってくる。そのような改革が起こっている中で、キャリア教育においては、子ども達に、「将来無くなる仕事」に動機づけしないでほしいのです。今の仕事の話を説明するよりも、子ども達と一緒に、将来無くなる仕事や、無くならない仕事について、そしてそれがなぜなのかを議論してほしい。それがまさに、頭を疑似的につなぎ、アクティブに学ぶ、ということです。
会場の様子
  • 「情報処理力と情報編集力
    これからは、正確に・早く答えを出すための情報処理力から、正解が一つではないことに向き合う、情報編集力が求められます。情報処理力は、速さ。情報編集力は、柔らかさ。頭のいい子を育てるには、両方を伸ばすこと。多いのは、情報処理力ばかりを伸ばす受験勉強をして、社会に出ても何もできない、使えない人間になるパターンが多い。情報処理力と情報編集力のバランスが大切です。情報編集力を伸ばすには、10歳くらいまでにどれだけ思いっきり遊んだかどうかが重要、子ども時代十分に遊べなかったなら、中高大のどこかで、親の元を離れ留学させるのがおススメです。
 会場の様子
  • 学校現場の変化と教員の真の役割
    会場の様子かつてはヒトコブラクダのような、標準偏差のような釣り鐘型の知能分布だったのが、現在は、フタコブラクダのように、できない子とできる子が二極化してきています。家庭が多様化する中、地域社会全体の力がなくなり、学校の教員も若手が多く支配力が下がって、ますます二極化は激しくなるでしょう。これは、学校の問題でも先生の問題でもなく、社会構造が原因なのです。
    企業も学校も塾も家庭も関係なく、みんなで一人の子どもの未来を支援するべき時が来ています。
    そして、超ネットワーク社会ではAIやロボット、オンライン教育が確実に現場に入ってきます。そんな環境における“先生”の本質は、『学ぶことが好きであること』だと私は思います。歴史を学ぶことが好き、昆虫が好き、解くのが好きというオーラは、ロボットには絶対に真似できません。学び続けているオーラを伝染させることが、“先生”の役割。これからは、教えるのが好きな先生ではなく、学ぶのが好きな先生を増やすことが大切になるでしょう。

企業教育プログラム事例発表:阪急阪神ホールディングス株式会社

平野里美 氏(人事総務室 総務部 課長)

7つのコア事業を6つのコア企業とそのグループ会社から成る阪急阪神ホールディングスは、都市開発や交通など、あらゆるジャンルを網羅した事業を展開しています。その特性を生かしたテーマで、社内の人材を効果的に活用した次世代育成の取り組みをご紹介いただきました。
  • グループ社会貢献活動
    会場の様子「阪急阪神 未来のゆめ・まちプロジェクト」として、阪急阪神沿線を中心に、私達一人ひとりが関わる地域において、「未来にわたり住みたいまち」をつくることを目指しています。重点領域は、「地域環境づくり」「次世代の育成」。ゆめ・まちプロジェクトは(1)グループ各社での協働、(2)地域(市民団体等)との協働、(3)グループ従業員との協働という3つの協働先があります。
  • 次世代の育成活動①
    社会体験型キャリア教育プログラム 「阪急阪神 ゆめ・まちチャレンジ隊」は、多種多様なグループ企業の体験プログラムを通じて、子ども達が「まち」を支える身近な仕事に気づき、チャレンジ精神や達成感を養う機会を地域社会全体で提供することで、未来の「まち」の担い手を育成することをめざしています2018年度は、35社・57プログラムに小学生2,640名を招待しました。
  • 社内の人材リソースの活用と持続可能な活動展開
    未来の地域社会を担う人材である子ども達へのキャリア教育機会の拡大のため、社内の人材リソースを有効的に活用した教育CSR活動の推進し、キャリア教育における学校現場の課題解決をめざして、「ゆめ・まち わくわくWORKプログラム」を開発しました。どのような苦労と工夫を重ねてまちの発展に尽力してきたかを学ぶと共に、身近なまちを支えるさまざまな仕事と児童自身の興味とのつながりに気づく、小学校高学年向けのキャリア教育プログラムで阪急電鉄の課長職が講師として学校に出向く出張授業として実施しています。
    誰が講師で行ってもクオリティが担保できるよう、サポート体制を重視しています。年度の期初ならびに期末の授業実施時にコンサルティング会社や事務局による講師研修やフィードバックを行い、担当役員および講師関係部署上役による現場視察実施、ならびに年に1回、経営会議における全役員へ取り組み状況を報告しています。
  • キャリア教育プログラムの特色と今後の取り組み
    キャリア教育充実に向けた今後の取組みとしては、以下をめざします。
    ①グループ各社が協働する取組みの継続と深化
      ⇒各プログラム内容の充実や、プログラム定員の増加に努める。
    ②教育関係者と連携する取組みの継続
      ⇒教育委員会や教員研修会等での事例紹介や、学校現場のニーズに合わせた対応を検討する。
    ③地域の市民団体と協働する取組みの展開
      ⇒国連のSDGs(持続可能な開発目標)の1つ「公正で質の高い教育の提供」を念頭に、
       当社グループ鉄道沿線の子ども達への機会提供に加えて、市民団体と組んで、
       困難な状況にある子ども達に向けた取組みを進める。
  • 次世代育成は当社にとっても未来への投資として、今後も積極的に取り組んでまいります。

鼎談

「Society5.0時代のEducation3.0 イノベーター人材育成のための協育」

  • 浅野 大介 氏 経済産業省 商務・サービスグループ サービス政策課長(併)教育産業室長
  • 大杉 住子 氏 文部科学省 国際統括官付 国際戦略企画官 (併)日本ユネスコ国内委員会事務局次長
  • 進行:若江 眞紀 キャリア教育プログラム開発推進コンソーシアム代表

浅野様、大杉様のそれぞれの立場からの貴重な話題提供と、それらを踏まえた“協育”の在り方、そして現在、具体的にどのような連携が始まろうとしているのかについて、意見を交わしました。

  1. 経済産業省 浅野 大介 氏による話題提供:「未来の教室」に向けて
    会場の様子教育は、学校教育、民間教育、産業界が一緒に大きな枠組みでとらえる必要があるものです。今、経済産業省も学校教育のフィールドで他機関と協力し合って、「未来の教室実証事業」等で、教育改革に入り込んでいます。
    <「すぐそこにある未来」の社会>
    「Society5.0」の社会 
    「グローバル化」が進んだ社会
    「働き方改革・一億総活躍」の社会
      子ども達は、「Society5.0」の社会に出ていくことになります。その社会を担う当事者性(シティズンシップ)を持ち、課題の構造を把握し、設定する力(システム思考)や、異分野の知を組み合わせて未来を描く力(デザイン思考)、そして確かな言語能力・数理能力・デジタルスキルが求められ、自分に適した学び方を知り、生涯学び続けることが重要になります。
    「グローバル化」が進む中、論理的・魅力的に「自分の考え」を語れる力、多様性を理解し、吸収し、協働できる力、対立点を乗り越えて、調整する力も必要です。「働き方改革」も進み、「決められた場所で、決められた時間だけ、あらかじめ決められた人間達と、とりあえず一緒に過ごす力」の重要性は、確実に下がっています。必要なのは、自ら「自分の時間割」をつくり、集まるべき人達と、柔軟に、「集まるべき時に集まる」力、「対面」にこだわらず多様な場面で適切にコミュニケーションできることが重要です。

    このような前提のなかで、企業の教育へのかかわりも変えていくべきでしょう。「社会貢献」の枠組みから、広報や人事的な観点を重視してはどうでしょうか。企業が本当に欲しい人材を育成するための、“協育”だと思います。

    「未来の教室実証事業」は学びのSTEAM化、学びの自立化・個別最適化、新しい学習基盤づくりという3つの柱で行っています。学びのSTEAM化においては、「創る」と「知る」の循環が重要で、民間企業の協力が必須です。

    どうしたら、より多くの企業の「本気」を引き出せるのか。教育支援は、CSRとリクルーティングのはざまにあると思います。人材育成の観点からも、企業が扱う課題、事業を正面からぶつけてみてほしいです。子ども達を子ども扱いせず、本気で社会を変えるプロジェクトだけを選び、本気で取り組んでほしい。自分達のほしい人材を育てるためには、それしかないのです。金の卵を育てるところからかかわり、早く企業のリアルを見せる。それが、今私達に求められるのではないでしょうか。
    <学校×企業によるSTEAMプログラム事例>
    • 「スマート農業:農業×データ科学×IoT×ロボティクス」
      昨年度事業にて、ベジタリア株式会社が実証。
      6の農業高校の圃場・施設を活用し、IoT・ロボティクスによるスマート農業を学び、実習等を通じて「未来の農業」を作り上げるプロジェクト。
      専門高校の持つテーマやフィールドは、普通科高校生や中学生以下にも有用。
      専門高校は、広く地域の子ども達のための「STEAM拠点」になり得る。
    • アジアの社会課題解決に取り組む:「交通渋滞問題:数理×倫理×ルール」
      徳島商業高校で、NPO法人TOKUSHIMA雪花菜工房が実証。
      カンボジアの交通渋滞問題の解決に取組むSTEAM学習プログラム。
      渋滞の数理モデル化を通じて、数学を学ぶ意味を理解するとともに、数学以外の社会分野も含めた主体的な課題発見・解決の楽しさを体験。
      教科横断的に知識を活用しながら探究することが「学びのSTEAM化」のポイント。
  2. 大杉 住子 氏による話題提供:学校教育の未来を考える
    会場の様子
    今、SDGsに取り組んでいる企業や、ESD(Education for Sustainable Development) に取り組む学校も増えていますが、実は、SDGsのGOAL4(すべての人に、質の高い教育を)は、ほかのすべての目標を達成するためにも必要な基盤です。現在、国際戦略の観点、ユネスコ国内委員会の事務局次長の立場から教育にかかわっていますが、このGOAL4の重要性は、世界中で共有され、教育施策の基盤になっています。

    実際に国際会議の場に立つと、自分の意見を持ち、根拠を持って話すことが求められていることを実感します。例えば、AIの教育における活用について、議論する場合、先進国は、「AIは質の高い教育の実現に必要不可欠」という意見があり、一方ある国においては「富や価値の偏在を助長する」と反対意見が出ます。だからこそ「オープンサイエンスを強力に促進すべき」しかし、「著作権等に関する枠組み構築が先」など、様々な角度から議論が展開されます。その時に必要なのは、見方・考え方を鍛える、つながって協働する、思考やコミュニケーションのための多様な方法を知ることです。それらを、学校教育の場で育てなければ、世界では通用しないわけです。

    新学習指導要領は、まさにこのようなニーズ、世界的な動きを背景としています。「社会・世界とよりよくかかわる力」をはぐくむために、教育はどうあるべきか。時間をかけて検討してきました。特に、高等学校の学びの改革については、中央教育審議会で現場の先生方や有識者90名が90回かけて、熱く議論してきました。また、既存の大学入試の問題を一覧にし、それぞれの問題でどのような見方・考え方が求められるのか、発揮されるべきかを徹底的に整理したところ、やはり知識を問うものに偏りが見られたので、それをより概念形成や体系化する方へと改善していく、という作業をしました。各国からは、「よくここまで体系化できたね」と驚かれるほどです。大学入試改革は、「なんのために学ぶのか」を念頭におきながら、高校教育を通じて育成を目指すべき資質能力、大学教育の基礎力として求める力、作問のねらいとする問いたい力を捉えなおしながら進められています。

    これからは教育現場もネットワーク化が進んでいきます。教育の現場を変えるために、技術革新を生かした教材や、ビッグデータを活用した学習支援、評価も重要です。そのための環境整備を、これから他省庁と連携して進める必要があります。実は、日本にはすでにSINETという国立情報学研究所が構築・運用する世界最高速級(100Gbps)の通信インフラがあります。これを、これまで高等教育機関等が教育研究用として利用してきたところ、希望するすべての初等中等教育機関でも利用できるようにしていきます。

    新しい時代の新しい教育のしくみづくりには、省庁の連携だけでなく、企業の皆さまとの連携も不可欠です。ぜひ、今日のような場を多く持ち、議論を深めていけたらと思います。
  3. 鼎談 「Society5.0時代のEducation3.0 イノベーター人材育成のための協育」
会場の様子

● 高校の改革のめざすこと

  • 若江)今回の教育改革の目玉でもありますが、高校の学びは探究に変わろうとしています。同時に、普通科の再編なども叫ばれています。
  • 大杉)高大接続にスポットが当たっていますが、普通科の在り方が問われています。山形県などは、探究科を置いたら普通科よりも倍率が高くなっています。生徒だけでなく、保護者の関心が高くなっているのを感じます。
  • 若江)探究科で、実際何を学ぶのか、中身そのものをよりリアルな社会課題やSDGsをテーマにするためには、産業界との連携が必須ですね。
  • 浅野)官僚をしていると、さまざまなプロジェクトを経験します。異動するたびに新しい学びを求められます。私にとっては、まさに生涯学習の機会で、理科をはじめ、学校で学んだことが、実社会のどこで生きるのかがやっとわかるようになります。実社会の課題解決に必要なものとして、学びの入り口を作れるよう、産業界が工夫することが大事で、今、経済産業省がモデルプロジェクトを実施しています。
  • 若江)日本の場合、高校であっても、社会経験を持つ教員は5%ほどと伺っています。やはり、社会を知る人達が連携することが必要で、未来の教室でも、実社会とつながるプロジェクト型学習、STEAM、と推進されていますが、これからは、Subject-based Learning(SBL)から、Project-based Learning(PBL)へと世界的にも舵が切られているのでしょうか。
  • 大杉)PBLは、各国でも手法として取り入れられていますが、世界的にみれば、日本のこれまでのSBLの評価も高いです。やはり、どちらかだけに偏らない「知る」と「創る」のバランスが大事だと思います。
  • 浅野)プロジェクトを渡されても、事前に、系統立った知識が必要ですよね。サブジェクトとプロジェクトがつながった学びを作り、それらを行き来しながら、学びを深めていく必要があると考えます。しかし、「知りたい」という動機や、新たな気づきの原点は、私自身の経験からも、プロジェクトにあると思います。
  • 大杉氏大杉)日本では、「何のための知識なのか」ということが、やっと問われ始めました。手法の問題ではなく、今一度「なぜ学ぶのか」を考える必要があります。高校は現在探究ブームですが、一つの正解がないので教えるのが怖いという先生も多くいらっしゃいます。正解ありきの押しつけのプロジェクトにならず、自発的に子ども達が探究できるよう、先生がサポートできることが大事ですね。
  • 浅野)「なぜ学ぶのか」という意味では、今日は企業の方々も多くいらっしゃっていますが、まさに企業の先端技術の研究や、省庁が持つ研究所にこそ、これからの社会を創る最新の研究、PBLの格好のネタがたくさんあります。そういうものを、もっと現場に活用してもらえるようにオープンにしたいですね。

●教育におけるテクノロジーの意味

  • 若江)知識・技能のところを、合理的・効果的に習得するためのテクノロジーの活用が叫ばれています。一方教育現場はまだまだアナログです。経済産業省はEdTechを推奨されていますが、現場で起きているミスマッチについて両省どのようにお考えなのでしょうか。
  • 大杉)テクノロジーの活用については、文部科学省、経済産業省、総務省が同じ方向を向いています。最終的には、1人1台PCがノートのように使われるようにしていかなければならないです。1人1台に向けては、産業界も巻き込んで、検討されていくと良いですね。企業にとっても、参入のメリットがあるはずなので、価値観がシフトしていく企業が出てくることを期待しています。
    加えて一番大きく、且つ、センシティブなのがネット環境の問題です。過去のルールを今検討すると、セキュリティ設定が高すぎたかもしれません。そのあたりも、省庁連携してルールを見直していく必要があります。
  • 若江)両省ともSTEAM、個別最適化という言葉を使われていて、教育界と産業界の融合は不可欠というのは一致かと思いますが、次の一歩を進めるにあたり、障害になるのはなんでしょうか。
  • 浅野氏浅野)やはり、質の高いコンテンツではないでしょうか。生きた学びのコンテンツをつくるためのフォーマットが今はありません。これから、試作されていくでしょう。そこに企業が自分事として乗って来てくださることを期待しています。これまでの社会貢献の文脈ではなく、突き抜けた金の卵に出会うため、という採用戦略的な動機でも構わないと思っています。そう思ってくれる企業と一緒に、本物のPBLを作れるかどうかがこれからのチャレンジですね。
  • 大杉)教育界では、高校の理数探究や総合的な探究の時間も始まり、まさに仰るようなPBLコンテンツが必要になってきます。何を教えたいのか、何を伝えたいのかという時に、ただ伝えるだけでは弱いです。ジャーナリストでも商社マンでも、仕事の本質となるものの見方・考え方を伝えられるような本質的なコンテンツが必要になってきます。企業のリソースをもとに、教育界もコラボレーションしながら、コンテンツを創っていきたいですね。例えば、「木曜は探究の日」にして、午後は企業人がみんな学校に教えに行くとか、そういったこともやってみたいです。
  • 若江)まさに、アメリカでは、Career Technical Educationといって、高校生のうちから専門性の高いコースの受講や大学単位を先取り取得できる仕組みが公立の現場で実現しています。「毎週水曜日はメディカルのコース」という感じで、地域のそのコースを提供する学校に、みんなでバスで移動して、探究しています。そこで教えている教員は、それぞれの分野のプロフェッショナルです。つまり、企業人にとっても、新たなキャリア開発の機会になるわけです。これは、地域全体の『人づくり』です。“協育”のフェーズは、支援、協働から、今後『融合』に向かっていくべきだと思います。これからは、教育界は社会に開かれた教育の実現、産業界は教育支援から人材戦略へとそれぞれのニーズをつなぎ『人づくりのスキーム化』をしていかねばならないと思っています。
  会場の様子

●来場者へのメッセージ

  • 浅野)協働から『融合』へというのはその通りです。これから企業は本当に人材不足になることが目に見えているわけですから、若い世代の人材育成に本気で取り組むべき時が来ています。経済産業省としても企業と議論し環境整備も考えながら、ひとつでも多くのプロジェクトを形にし、この動きを前に進めていきたいと思っています。
  • 大杉)一昔前は企業が教育現場に入るとなると、「宣伝だ」と反発もありました。しかし、その時代も終わり、今はその良し悪しの議論ではなく、その「質」の議論にシフトするところまで来たことを、本当にうれしく思っています。ここから、さらに一丸となって“協育”を推進していきたいです。

教育CSRフォーラム2019 アンケート集計

  アンケート集計
●来場者の声
人手不足・人材不足の中での教育プロジェクトの必要性というお話、肝に命じて職場に戻りたいと思います。
幅広い立場の方から現代の教育について語っていただけた。変えたいけど変わらないと思っている教育現場だが、水面下では大人達が知恵をしぼって変えていこうとしていることが分かった。
今回の文科省・経産省の鼎談など、同じ方向を向いていながら、連携が難しかった方々を「つなぐ」こと、そしてそれを社会に「見せる」ことを、今後もコンソーシアムに期待したい。
「これからの時代を生きる子ども達に何を学ばせていくのか」という視点で教員がもっとやるべきことがあると痛感させられました。
業界×教育界のパッションとミッションがとてもよく分かり、現場でのモチベーションにつながりました。

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