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2021.02.10(水)

セミナーレポート【教育DXセミナーⅡ】~『教育DX』は現場をどう変える?公立中学校の最新事例から考える~

セミナー参加内訳(担当部署・担当別)

セミナー参加内訳

キャリア教育プログラム開発推進コンソーシアムは、2021年1月26日(火)、次世代育成に取り組む企業・団体のご担当者を対象に【教育DXセミナーⅡ】~『教育DX』は現場をどう変える?公立中学校の最新事例から考える~をオンラインで開催いたしました。

今回のセミナーでは、GIGAスクール構想の推進をふまえ、「教育DX」つまり、テクノロジーを活用した学びのトランスフォーメーションとはなにか、デジタルの導入によって何がどのように変わり、何が変わらないのか、現場でチャレンジを続ける校長先生をゲストにお迎えし、具体的な事例紹介をいただきました。
25社・団体、30名を超える皆さまにご参加いただき、これからの学びのあり方、企業の支援のあり方を考える機会となりました。

教育DXオンラインセミナー風景

「そもそも、DXって?」(コンソーシアムからのテーマ提起)

現在ではDXという言葉自体が、自治体DX推進やデジタル庁の動きや社会で大きなうねりとなっています。生活の中でのDXはすでにわたしたちの身近に実感できるようになりました。例えば、買い物がリアルな現金から電子マネーに変化したとき、「モノを買う」という体験そのものが様変わりしています。『教育DX』も同じコンセプトです。教育DXとは、私たちの生活の中のDXと同じように、体験そのものを変革してしまう、つまり、学びそのものを変革してしまうものだとわたしたちは捉えています。そのための手段として、インフラやデバイスを整えていくという段階があり、今回GIGAスクール構想が国家的に進められています。しかし、その次の段階が重要です。一人一台端末を持った時、教育現場はこれまでとどう変わるのでしょう?これからは学校現場で子どもたち全員が、常時端末を持ち、インターネットに接続するという世界になっていきます。それは全国ほとんどの学校や先生方が未体験です。本日、ご紹介する渋谷区立笹塚中学校は、この未体験ゾーンに一歩先に踏み込んで、さまざまな試行錯誤を先進的に取り組んでいます。企業・団体の皆様が実施している出張授業、もしくは学校の授業そのもの、その他教育支援活動の中での実践が、「一人一台」「オンライン」になったとき、児童・生徒の体験や講師の体験、ユーザー・エクスペリエンスがどう変わっていくのか?ということを考えながら、今日の事例紹介を聞いていただきたいと思います。

『教育DX』は現場をどう変える?

東京都渋谷区立笹塚中学校 校長 駒崎彰一 先生

本校は先程の“未体験のゾーン”に入っている学校、すなわち前例のない中で試行錯誤しながら一人一台での学びを進めている学校です。

教育DXオンラインセミナー風景渋谷区の場合、平成29年から一人一台の環境、しかも常時ネットワークに接続する環境を整えてきました。単に、端末を配るだけでなく、ネットワークそしてクラウド環境も整え、実践を積み重ねてきました。渋谷区の場合、端末は初めから「持ち帰りが前提」となっています。本校は、東京都教育委員会情報教育研究校や渋谷区教育委員会研究指定校として、単に端末を使うICT教育ではなく社会一般に広がっているテクノロジーを教育活動に入れていこうと取り組んでいます。本校の教育目標は、「自立」「協働」「参画」です。未来を意識してsociety5.0の世界、どんな資質能力が必要なのかということを考えて、それに合った教育を進めるため具体的な目標を設定しています。新しいことをするには実行力、突破力が必要とのことで、“やっちゃえSasazuka“というキャッチフレーズをつけ、教員、保護者、そして子どもたちに繰り返し伝えています。

  • 渋谷区立笹塚中学校の実践①オンライン学習
    今年度は新型コロナウィルスの関係で学校が昨年3月に突然休校になりましたが、すぐに学校のプライべ―トサーバーを活用してオンラインでの教材配布をスタートしました。さらに5月に入ってからは学級活動から始め、本格的にWeb会議ツールを使用したオンライン授業を展開しました。オンラインの授業では、いかに双方向、対話的な授業にするか、教員がそれぞれ悩みながら実践を積み上げてきた状況です。6月から1クラスを2教室に分ける分割登校を実施しました。分割登校では一般的には授業のコマ数が倍になることが課題ですが、Web会議ツールを使い一つの授業を各教室に配信するという形で、ハイブリッド型の授業に挑戦した結果、現在まったく授業の遅れもなく、1年間進めています。
  • 渋谷区笹塚中学校の実践②プロジェクト型学習

    環境が整っているだけではオンライン授業はうまくいきません。これまでのさまざまな試行錯誤があってこそできたことだと感じています。教育現場では、慣例的に“同じことを一斉にしなければならない”という感覚が残っており、新しいやり方にチャレンジするときも、「もし取り残される子どもがいたらどうしよう」、という不安が現場の変革を止めていました。だからこそ、これまでの感覚を払拭するためにも、「それぞれ違っていい、みんな同じでなくていい」、ということを実感できるような、いわゆる“プロジェクト型“の教育活動を積極的に進めています。

         そのひとつが、先端テクノロジーを活用したプロジェクト型学習です。例えば、ドローンの活用です。今年の実践では、約5時間程度のプロジェクトを実施しました。初めに専門家にドローンについてレクチャーいただき、指導を受けながらドローンを操作して、次に飛行させるためのプログラミングを学習し、グループごとに作戦会議をしながら実際に飛ばすところまで行います。試行錯誤しながら、最終的には全員がドローンを操作できるところまで行いました。このときに習得した技術は、運動会で人文字を作る隊形移動をする際に上空から撮影して、その映像を見ながら修正するなど、さまざまな教育活動に生かしています

     

    他にも、理科と稲作体験学習をリンクさせ、VRゴーグルを生徒一人一台用意し、理科の教科学習を深めるということと(単元: “水中の生き物を調べてみよう”)、稲作という生徒にとって未知の体験をより充実させるための事前学習を一度に実現する取り組みも行いました。「これからの時代はバーチャルな世界と現実の世界が当たり前に共存し、それらをいかにつなげるかが大事だよ」と子どもたちによく話しています。そのために、両方を体験させないと、子どもたちは実感を得られないですし、Society5.0時代に求められる資質能力の育成にはつながらないと考えます。

    このようなテクノロジーを活用したプロジェクト型の学びは、教員にとってもチャレンジです。最初はなかなか大変ですが、教員自身も試行錯誤し、その大変さを乗り越えると、面白さを感じるようになります。こういった試行錯誤を積み上げていたことが教員の力となり、今年のコロナ禍でのオンライン学習への切り替えがスムーズにできた一つの要因でした。

  • 渋谷区立笹塚中学校の実践③普段の授業や教育活動
    今年は、生徒会も、選挙も、オンラインで実施しました。議会、立ち合い演説会、投票もすべてオンライン・ペーパーレスです。投票結果は今まで翌日にならないとわからなかったところが、オンラインでは2分でわかりました。このように“コロナ禍だから”ということではなく、デジタルだからこそ、デジタルならではの価値を子どもたちが実感しつつあります。それは、日々の生活指導も、教科の学習も同様です。子どもたちの連絡帳もデジタルになっています。次の日の教科の連絡等、その日のひと言日記、健康状態などを毎日入力し、全教員がいつでも見守れるようになっていますし、授業においても、ノートをすべてデジタル化し、より個々の生徒の学びの充実や、登校が困難な場合にも授業に遠隔参加できる環境を整えていきたいと考えています。
  • 渋谷区立笹塚中学校の実践④校務
    教員の働き方も今、大きく変化しています。業務の分散化も進み、今までは担当者がシステムデータ更新等をしてきましたが、今は全員が同時にアクセスし協働編集できるようになっています。そこで情報共有や決裁が済みますので、月一回実施していた職員会議は、本校ではゼロにしました。学校日誌もデジタルで皆と共有し、皆で書き込むという形で作業が目に見えて効率化されています。
    教員の公務においても、学習活動と同じように、デジタルだからこそよいもの、アナログであるべきものを、見極め、皆で使い方を試行錯誤しながら、もっとも効率的、効果的な方法を実践しています。
  • 最後に

    単に今までしていたことをデジタル化するだけだと、まったく良い実践にはなりません。根本から突き詰めて、これはデジタルの方が良いと判断したものについては徹底的にデジタル化する。一方で、アナログが良いということを守っていく。そこは踏み違わないように進めていかなければなりません。あえてデジタル化する必要がないということもあります。

    そして、ドローンもVRもそうですが、このような外部連携を実現するためには、もっと教員が、企業の事業や先端技術に学びのリソースがあるということを知る必要があります。授業に落とし込むのは教員の仕事として、まずは企業の皆さんにはどんなリソースがあるか、どんな可能性があるかをどんどん発信していただきたいです。

    世界と比べると間違いなく20年以上遅れているこの状況を、何とか外部の方々と共に乗り越えたいと思っています。
    社会に広がるテクノロジーを、必要なところに当たり前に導入することは必須です。一方、実際のところ課題は山積みです。スピード感をもって改革を進めるためには、まずは、意識改革、そして、何のためにどう活用するのかを常に考えて判断していくことが重要です。今後の展開として、DXによる校内innovationを誘発することを見据えています。

参加者アンケートより

(一部抜粋)
ICTを活用した授業の展開にとどまらず、それを「どう」活用するかを考えさせられるセミナーでした。
単なる「オンライン化」ではなく、どのようなアプローチが可能かを考えさせられました。
笹塚中学校のようなイノベーションが進展している学校の事例をご紹介いただき、企業として何ができるか考えるきっかけになりました。
リアルとバランスの取り方が大事だということ。あくまでオンライン化は目的を達成させるための手法である事を再確認しました。
先生方のICTリテラシーの育成は、研修以上に実践が重要との話について、「教員は子どもの前で失敗できない」から脱却し、「子どもの前で試行錯誤している姿を見せて構わない」、「教員の試行錯誤は子どもたちにとって一緒に考え、課題を乗り越える機会」という校長先生の言葉に、教員=大人と読み替えたいな、と感じました。

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