フォーラムレポート

教育CSRフォーラム2013報告書

2013年4月 3日 18:09

教育CSRフォーラム2013 ~未来を拓く人材を育てる、「これから」のキャリア教育とは~

2013年3月30日(土) 教育CSRフォーラム2013を開催いたしました。花王株式会社様の利便性のよい会場ご提供により、年度末にもかかわらず、定員を超えるご参加をいただきました。

「未来を拓く」人材像、そして人材育成に不可欠であるキャリア教育について、新たな展開を探ることねらいに、国レベルの教育方針、グローバルなテーマの紹介や企業プログラムの事例発表、現役校長の生の声に、参加者の皆様は熱心に耳を傾けておられました。

実施概要

開催日時 2013年3月30日(土) 13:00~16:30 (12:30開場)
開催場所

花王株式会社 本社
103-8210

東京都中央区日本橋茅場町1-14-10
http://www.kao.com/jp/corp_info/factories_01.html

対 象 次世代育成支援に取り組む企業・ 団体関係
教育関係者
参加者数 83名(関係者除く)

プログラム内容

13:00-13:15 ■開会挨拶
キャリア教育プログラム開発推進コンソーシアム
13:15-14:15

■【第1部】 基調講演
新学習指導要領と今求められる“生きる力”の育成
塩見 みづ枝 氏(文部科学省 初等中等教育局教育課程課長)

“生きる力”を育成する教育実践~ESDの視点から~

角屋 重樹 氏 (国立教育政策研究所 教育課程研究センター基礎研究部長)

14:25-15:15 ■【第2部】 事例発表
<事例1>
大日本住友製薬株式会社
「生命倫理」をテーマにした道徳プログラム
~教員と企業講師が連携したコラボレーション型授業~

斉藤 雄一郎 氏

(コーポレート・コミュニケーション部 CSRグループマネージャー)


<事例2>
株式会社日立ソリューションズ
情報活用力を育成する社会科プログラム

~電子黒板とタブレット端末を活用した次世代型授業~
高野 美樹 氏(ブランド・コミュニケーション本部 CSR推進部長代理)
15:20-16:10 ■【第3部】 鼎談
「“生きる力”を育むネットワーク型学校づくりへの挑戦」
代田 昭久 氏(杉並区立和田中学校 校長)
平川 理恵 氏(横浜市立市ヶ尾中学校 校長)
若江 眞紀
(キャリア教育プログラム開発推進コンソーシアム代表/株式会社キャリアリンク 代表取締役)
16:30 終了

第一部 基調講演

1)「新学習指導要領と今求められる"生きる力"の育成」
 塩見 みづ枝 氏(文部科学省 初等中等教育局教育課程課長)

日本の子どもたちの学力の現状と課題、課題解決のために求められる教育界の変革について、わかりやすく整理していただいたご講演でした。
21世紀社会を生きる上では、直面する課題について「自分のこと」として関心を持ち、自分の頭で考え、他者と協働しながら課題を解決していく力が求められ ていること、そしてその力が文部科学省の提唱する「生きる力」であり、新学習指導要領のバックボーンであるとの説明に、参加者は大きく頷きながら聞き入っ ていました。また、「生きる力」の育成のため、教育現場では
 1.ねらいの明確化 2.実生活との関連 3.社会とのダイレクトなかかわり
という3つの視点から教育を捉えなおし、授業の変革を行っていく必要があること、そのためには外部連携・地域連携が不可欠であることについてご説明がありました。

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【社会で生きる上で必要な力とは】
学習指導要領で「生きる力」と表現している力とは、課題を「自分のこと」として関心を持ち、一人一人が自分の頭で考えて、周りと協力しながら課題を解決して行く力のことを指している。
変化の激しいグローバル化した社会においては、必要な力が刻一刻と変わり、そのために、常に自身が成長を求める必要性がある。つまり、21世紀を「生きる」ことは「学び続ける」ことであると言える。学校教育では、この「学び続ける」基盤を培うことが重要である。

【日本の子どもたちの学力の現状と課題】
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)、IEA国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)などの結果から、日本の子どもたちの現状と課題を分析する と、日本の子どもたちは、必要な情報を見つけたり取り出したりすることは得意だが、それぞれの文脈や関係性を解釈したり、自らの知識や経験と結びつけたり することが苦手であることがわかる。
特筆すべきは、対象諸外国にくらべて学校や社会への参加意欲が低いことである。学校や社会といった環境のなかで、自分の果たすべき役割が認識できない、も しくは人の役に立てるという自信が持てず、自らの力で「社会を変えられる、変えていかなければいけない」という意識が目立って低い。
加えて、高校生に対する進路調査では、高校卒業する段階で将来の生き方や仕事について自信が持てない状況が広がっている。

【課題解決のため、教育現場に求められる変革①学習指導要領が目指しているもの】
新学習指導要領では、確かな学力を基礎的な知識技能の習得に加え、学力の3つの要素(思考力・判断
力・表現力)と社会的・職業的自立につながる力を育成することを目指している。主な改訂事項としては、
言語活動の充実や理数教育の充実、社会とのかかわりの重視などがあげられる。

【課題解決のため、教育現場に求められる変革②授業のあり方はどのように変わっていくべきか】
子どもたち自身が、何のために学んでいるのか確信を持てるよう、「この学びは何につながっているのか?」という視点で教育を捉えなおし、授業を変革していくべきである。

具体的な視点は以下の通り:
1 ねらいの明確化
授業のねらいを明確化し、子供たちにも理解させることで、学習のねらいを意識したふりかえりを行うことができ、より学習が定着すると考えられる
2 実生活との関連
新しい学習内容として「スキルの育成」を導入するのではなく、すでに取り組んでいる各教科の学習の中で実社会とのむすびつきを意識させ、系統立てて指導することが大切である
3 社会とのダイレクトなかかわり
企業や外部とのかかわりを通して、今まで知らなかった世界や技術に触れられ、学習に対する興味・関心を高めるとともに、仕事への興味やあこがれなど、将来のキャリア形成のきっかけを生み出す

また、こういった授業の実現をサポートしていくものとして、学校支援地域本部等の地域の力を活用するしくみのさらなる強化や、高等学校教育~大学教育を一体として捉えた入試の改革、関連性を考えながら取り組んでいかなければならない。


【参加者からの声(アンケートより抜粋)】
・企業で働く人間として、新学習指導要領について理解する機会をいただけてよかったです
・学校教育が目指している「生きる力」の具体的な考え方、取り組み状況を知ることができ、とても勉強になりました
・企業として教育現場と連携するにあたり、目標の共有ができたと感じました
・文部科学省の考えていることを直に聞くことができ、納得がいきました
・自分が実際に行っていた授業がここにつながっていたのか、と再確認できるようなお話でした

 

2)「“生きる力”を育成する教育実践~ESDの視点から~」
 角屋 重樹 氏(国立教育政策研究所 教育課程研究センター基礎研究部長)

昨今、世界的にも注目される教育テーマであるESD(持続発展教育)について、ESDを構成する要件から目指すべき授業のあり方について分析された国家レ ベルでの研究成果を、噛み砕いて解説してくださり、現場の先生方にとっても、産業界からの参加者にとっても、学びの多い講演内容でした。
比較的取り組みやすいといわれるテーマ(例:環境、エネルギー、国際理解、自然災害、防災など)を学習活動に取り入れれば「ESD」になる、という事では なく、「持続可能な社会づくり」のための学習として、目的や、重点的に育成されるべき力を明確にした上で、授業を構成する必要性について理解することがで き、参加者が「ESD」について捉えなおすきっかけとなりました。

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【学校教育におけるESDの実践】
現在、ESDに関連した授業というと、総合的な学習の時間に実施されることが多く、テーマとしては主に環境、エネルギー、国際理解、自然災害、防災などが 大半を占めている。しかしこれらのテーマに関連した授業であれば、すべてが自動的にESDと呼べるようになるという事ではなく、ESDが成立するための構 成要件を明らかにし、目的を明確にした上で授業を設計することが必要である。

【ESDの定義】
「持続可能な社会づくり」にかかわる各分野における課題を見出し、それらを解決するために必要な能力や態度を身につける」ことを通して、持続可能な社会 の形成者としてふさわしい資質や価値観を養うのが目的であり、あくまでも環境、エネルギーなどはテーマ(学習対象)に過ぎず、ねらいは学習対象そのもので はないことを理解することが大切である。


【研究から見えたESDの成立要件】
ESDの授業実践事例を分析、整理すると、ESDが成り立つ要件は下記2つに絞り込めと考えられる:
・構成概念
多様性、相互性、有限性、公平性、連携性、責任性
・重視する能力、態度
批判的に考え(クリティカルシンキング)学習のふりかえりの場面でも、自身の知識を吟味し、他者の視点で見直す力や、未来像を予測して計画を立てる力、1 つの視点からでなく、常に多面的・総合的に考える力、コミュニケーションを行い、他者と協力する態度、進んで学習に参加する主体的な態度などが挙げられ る。
加えて、教材(学習課題、内容)を内容的・空間的・時間的につなげ、教科や学年の枠組みをこえた体系的な授業を構成すること、学習者同士はもちろん、地域、社会とつなげること、身に付けた能力・態度を具体的な行動に移すこと、実践につなげることに留意するべきである。


【ESDの学習指導過程の具体化】
今後、教育現場でESDを取り組んでいくためには、従来の指導過程において明記される、単元の目標、単元計画、本時の展開等に加え、ESDの成立要件をふまえた、ESDの視点の明確にし、具体的指導過程に組み込んでいく事が重要である。


【参加者からの声(アンケートより抜粋)】
・漠然としか捉えていなかったESDですが、先生のお話を聞いて自分の中にストンと落ちた気がします
・ESDに関する授業や単元をどう進めていくかイメージすることができました
・ESDの構成概念は企業側も意識しないといけないと感じることができました
・大量の報告書をコンパクトにまとめてご発表いただき、大変参考になりました
・ESDの概念理解だけでなく、コミュニケーションの低下から起こる問題の可能性など考えさせることが多かったです

第2部 企業プログラム事例発表

1)大日本住友製薬株式会社 
 「生命倫理」をテーマにした道徳プログラム ~教員と企業講師が連携したコラボレーション型授業~
 斎藤 雄一郎 氏
 (大日本住友製薬株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 CSRグループマネージャー)

「生命倫理」をテーマにした、学校現場に求められている道徳プログラムのねらいや授業構成、教材の特徴について、実際に授業で使用するビデオ教材を活用しながら、丁寧にご紹介いただきました。
また、「生命倫理」という難しいテーマを扱うためには、企業講師と教員が連携して授業のねらいやポイントの共通理解を効果的に図り、生徒の思考の深化やディスカッションをうながすことが重要である、との実感のこもったメッセージが参加者の心に印象づけられました。

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「遺伝子診断」が題材の架空のシナリオをベースとしたVTR教材のデモンストレーションを交えて、科学の進歩にともなうメリット・デメリットをディスカッション形式で考え、生徒一人ひとりが自分なりの意見を導き出す「道徳実践力」の育成をめざすプログラム。

ユニークなポイントとして、生徒の積極的な発言のうながしやスムーズな授業進行を教員が、専門家としての知識や視点の提供を企業講師が行うという、教員と 企業講師のコラボレーション型授業であることを解説。中学生を対象として「生命倫理」という難しいテーマの授業を運営する上で、この連携が非常に効果的で あったことに触れ、そのためにも、事前説明や教員による事前授業の実施など、学校側と企業側の双方の授業についての共通理解が重要であると感じた。また、 授業の中で生徒が主体的に考える活動を行うためには、クオリティの高い教材が必要であることを言及。「病気の告知」や「遺伝子診断」という、中学生にとっ ては実感しにくいと感じられるテーマを自分のこととして真剣に受け止め、学習に取り組みませるためにも映像教材の活用は効果的であった。今後は、教育コー ディネーターとの連携により、教員に対してのヒアリングや生徒の感想なども参考にして、本プログラムの改訂や扱うテーマの拡大を見込んでいる。


【参加者からの声(アンケートより抜粋)】
・現代の子どもたちには「生命の大切さ」を考える時間が重要と感じています。道徳プログラムがあることに感動しました
・ぜひ授業に導入させていただきたいと思いました
・子どもたちの意見を引き出す、考えを深めることの大切さを改めて考えさせられました
・学校現場と企業が共通の目的理解のもとで授業をおこなっていくことが大切であると気づきました
・ストーリー、ビデオがていねいに作りこまれているのが印象的でした

 

2)株式会社日立ソリューションズ
 情報活用力を育成する社会科プログラム ~電子黒板とタブレット端末を活用した次世代型授業~
 高野 美樹 氏
 (株式会社日立ソリューションズ ブランド・コミュニケーション本部 CSR推進部長代理)

ICTを効果的に活用した、情報活用力を育成する社会科プログラムについて、授業で実際に行うワークの模擬体験を取り入れながら、「社会イノベーターの育 成」の一環としての教育支援の目的、教育的視点からのプログラムリニューアルの背景、その成果についてご説明いただきました。
リニューアルにあたっては、CSR推進担当だけでなく営業担当者が積極的にプログラム検討にかかわり、そのプロセスにおいてシステム開発のヒントが得られたなど、「社内連携の新しい形」が生まれたという興味深いエピソードが、多くの共感を呼んでいました。

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CTを効果的に活用した、情報活用力を育成する社会科プログラムの紹介。これまでも情報活用能力を伸ばす授業の提供を行ってきたが、プログラムに対 する評価で授業のねらいの到達度が低かったこと、教育現場では、教科単元の学習内容にそくしたICT活用および、情報活用能力の育成の要望が高まっている ことを背景に、プログラムのリニューアルを決定。

社会的な課題を解決する「ソリューションプロバイダー」として、情報を活用したコンビニ出店の分析ワークを通して、社会を支えるITの役割、目的をもって 情報活用をする大切さに気づかせるとともに、児童の主体的な学習を支援しながらリテラシーを高める。特にタブレットを使った恊働学習では、普段の授業に比 べて、児童がより積極的に学習に参加し協力し合っていたという評価があり、ICTの効果的な活用を提案できたことを実感した。
今後は、今回培った事業部間の連携を活かし、より戦略的な事業展開をはかりながら、より多くの学校でプログラムを実施していく予定。


【参加者からの声(アンケートより抜粋)】
・情報モラル教育に偏らず、情報活用能力の3つの力の育成を目的とし、必要な要素が全てセットになっている点が
素晴らしいと思いました
・教員と連携して授業を進めているというところに共感しました
・教員、生徒を含めた学校、企業、地域の三者にとってメリットがよく見えるwin-winの関係が伝わってきました
・ICTを効果的に活用して子どもたちの能力を引き出す内容となっており、とても参考になりました

第3部 鼎談

"生きる力"を育むネットワーク型学校づくりへの挑戦
代田 昭久 氏(杉並区立和田中学校 校長)
平川 理恵 氏(横浜市立市ヶ尾中学校 校長)
若江 眞紀(キャリア教育プログラム開発推進コンソーシアム代表/株式会社キャリアリンク 代表取締役)

民間人校長の代表ともいえる代田氏、平川氏のお二人をゲストにお招きし、教育理念、これまでの実践の成果、今後の展望を力強く語っていただき、参加者は一様にお話に引き込まれていました。
両校共通の教育目標である「自立貢献」へ込められた熱い思い、その言葉が表す人材の育成、そのために不可欠となる「開かれた学校運営」のポイントについて ご説明いただく中で、両校長とも、地域支援本部や学校協議会に向けた情報公開、外部連携の必要性、そして先生方へ向けた情報共有や成果還元の重要性につい て触れていらっしゃったことが印象に残りました。

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【NHK「マイケル・サンデル 白熱教室」に参加して感じた事】
若江)
昨年12月に、両校の生徒の皆さんが、NHK「マイケル・サンデル 白熱教室」に参加されましたが、収録での様子を見てどんなことを感じられましたか?また、収録後何か子どもたちに変化などはありましたか?

平川)
市ヶ尾中学校では常に様々な企業、地域と協力して問答形式で授業を行っていますが、この番組で他校の生徒と議論したことで、多様性の世界の中で違いを認め あっていく教育が必要だと強く感じました。番組のビデオを教材に道徳の授業を行う学年が出てくるなど、想像以上に学校における波及効果がありました。

代田)
番組でとりあげられた「いじめが是か非か」のテーマは、既に学校でディスカッションを通して取り組んでいましたが、他の学校や、別の県や地域、世界とのつ ながりをもち、ディスカッションの機会を設けることで子どもたちが成長できるという、さらなる希望と期待をもちました。


【これからの子どもたちにつけなくてはいけない力と、学校のあり方】
若江)
前半の講演にもありましたように、これからの学校教育の中では、ねらいを明確に意識し、学校全体として系統立てた授業を運営していくことが大切です。その点について両校の取り組みを教えてください。

平川)
市ヶ尾中学校では、教育理念「自立貢献」に基づいて、様々な取り組みを行っています。まずは先生方に、今行うべきことを明確に意識していただくために、 日々の授業観察、授業後の面談などを通して、先生に授業のふりかえりの機会を与えています。また、授業の様子や日々の先生の頑張りを広報誌などを活用し、 子どもたちや保護者にも発信しています。そうすることで、先生方にも、保護者の皆さんにも学校が目標としているところを、より具体的に理解して頂けると感 じています。

また、キャリア教育を非常に重視しており、就労体験だけがキャリア教育ではないと考え、各教科の授業にゲストスピーカーを招聘し、子どもたちの学習への興 味・関心を高めるとともに、学習と社会を結びつけて考えらえる機会を作っています。学力向上のためには、学習状況調査を実施し、補習の実施も行っていま す。
学校をとりまく資源を効果的に活用するために、地域に対して、学校便りやHPなどで開かれた学校をアピールすることで、ボランティアによる支援などの地域からの協力を得る事ができています。
後はユネスコスクールになったこともあり、世界とつながる学校を意識して、これまで取り組んできた、平和学習、人権学習、福祉体験学習の更なる充実を図る計画です。

若江)
授業を変えるために、平川さん自らが媒介となって、先生方への授業ノウハウの共有を行っているんですね。ノウハウはもちろん、生徒の現状を積極的に共有していくことで、先生方が中心になって活動が進んでいくように重視されています。
広報誌による発信や先生との面談を通して、先生方の自尊感情を高め、活動に巻き込んでいくことで学校一体となった取り組みが成功しているといえますね。では、和田中の取組みはいかがでしょうか。
代田)
学校経営における課題として、どうしても教員は数年経つと異動してしまうということがあります。
一人の先生が積極的に活動していても、先生がいなくなってしまうと同時に、そのような授業もなくなってしまう・・ということはよくあることです。学校にこのノウハウをどのように蓄積していくかが学校経営のキーとなります。
私は5年間の校長としてのミッションとして、「持続可能な学校改革」を行うをことを掲げ、学校運営に取り組んできました。実は10年間で杉並区の中で一番 小さかった学校(生徒数が少ない)が一番大きな学校になりました。学力での成果も出ています。持続可能な学校改革には、客観性と評価が最も重要ととらえ、 常に授業運営や取り組みに対してこの2つを意識してきました。
そのために、まず具体的に子どもたちにどんな力を育んでいけばいいのか、様々な世界標準(OECD、ユネスコ、21世紀型スキル、ATC21S等)の力を分析した上で、和田中で育成する「5つの力」を明確にし、評価の基準とすることにしました。
具体的には、前任の藤原校長が行ってきた「よのなか科」の授業で、実際にどのような力が育まれてきたのかを明確にすることからはじめました。5つの力を発 達段階に応じて考え、育成したい力を明確にした上で、テーマ設定を行い、ディスカッションなどを通して課題を解決する授業を年間を通して計画しました。
学習活動には、タブレットを中心としたICT機器の活用、発問、意見交換、記録を残すことで、さらに、生徒の実態を正確に把握できるようになりました。
例えば、生徒の書いた文章を分析したところ、「よのなか科」をはじめとした授業で生徒の力が確実に育まれていることがわかり、それが学力向上につながっ ているという確信を持てるようになりました。先生方もその力の評価(可視化に)結果を見て、自分たちが行っていることが正しいのだと自信を持つようにな り、授業を評価と連動する大切さを実感しました。評価の可視化は、保護者の理解を得るためにも役立ちました。

若江)
「よのなか科」を実施することで、教育理念が具体的に浸透させることに成功されていましたが、さらにその成果、つまり「よのなか科」通してどんな力が育まれたのかということを、生徒にも教員、保護者にも認識してもらうことがとても重要なのですね。


【これからの校長に必要な能力、成果につながるキャリア教育の視点とは】
若江)
これまでのお話から、これからの校長に必要な能力は、学校の課題を発見し、それを解決することになってくるのだと思います。両校長が考える、校長のあるべき姿、また成果を残すためのキャリア教育に取り組んでいくための視点についてお話いただけますか。  
平川)
これからは小中・小小の連携の進めていくことが必要だと思います。キャリア教育も中学校区で一貫した目標を決定し、それぞれの発達段階にあわせて「つけた い力」を具体的に系統立てて構成することで、授業研究も共通の目標を基準にそって進むべきでしょうし、先生にとっても、目標や取り組むべきことの関連性が 明確になってくると思います。
若江)
企業がプログラムを提供する場合も、小小連携の視点をもって、貢献していくことが必要になりますね。代田)
やはり、何よりも大切なのは「目の前の子どもたちをなんとかしてあげたい!」という先生の情熱です。
そのためには、先生方の「成果が見えないのにいろいろと意に沿わないことをやらされている」といった負担を拭わなければいけません。確信を持つことができれば、先生方はパッションがありますから、積極的に取り組んでくれることでしょう。   
若江)
ありがとうございました。


【参加者からの声(アンケートより抜粋)】 
・お若い民間人校長をおふたりお招きしての鼎談、教育現場を知るための努力の凄さ、違った視点からの
新しい風、学校がどんどん変わっていく様子が伝わりました。とはいえ、不変のものもきちんと押さえ
ておられ、成功するための条件や環境をソフト面から垣間見た気がしました
・おふたりの校長先生のマネジメント力や巻き込み力、参考になりました
・普段なかなか知ることができない教育現場の生の声を教えていただきました
・自分が所属する学校とは違う、やり方、考え方が伺えてとても勉強になりました

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【参加者からの声(アンケートより抜粋)】
 ・貴重なご意見を伺うことができ、大変刺激を受けました
 ・関西でも開いて欲しいです
 ・非常に勉強になりました。学校、民間、お互いのニーズをうまく合わせていくことが大切だと感じました
 ・企業と学校を結ぶだけでなく、学校と学校を結ぶことも重要だと理解できました
 ・きれいごと、上手くいった事だけでない、生々しいお話が聞けたことが本当に大きな収穫でありました

 

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